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【天天新要闻】【GPT机翻】战国小町苦劳谭 (戦国小町苦労譚)- 113 [千五百七十四年 一月下旬]
来源:哔哩哔哩      时间:2023-04-17 01:05:50

书名 战国小町苦劳谭

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作者: 夹竹桃


(资料图片仅供参考)

原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/

翻译工具:ChatGPT

*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*

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千五百七十四年 一月下旬(*原文网页序列号 - 130)

元日。新年の挨拶を交わすため、信長の許を訪ねる者は昨年に比して数倍にもなっていた。

元日。来拜访信长的人数比去年多了数倍,为了交换新年祝福。

混雑を予想して用意された待合所は人で溢れ、待合所に入るにも長蛇の列を覚悟せねばならない有様であった。

预料到会很拥挤,准备好的等候区已经挤满人,即使要进入等候区也需要排很长的队。

当然そのような状態であるため、一人一人に割り当てられる時間は厳しく制限される。簡潔かつ、必要最小限の言葉で信長に覚えて貰おうと皆が頭を捻っていた。

当然,由于这种状况,每个人被分配到的时间都严格限制。大家都在想方设法用简洁且最必要的话语让信长记住他们。

篝火が焚かれているとはいえ、寒風吹きすさぶ試練に耐え、ようやく信長との謁見が叶おうとも、交わせる言葉は定型句の挨拶以外に一言二言に過ぎない。

尽管篝火熊熊,但在冷风中经受着考验,与信长见面实现后,除了一些例行的问候外,交流的言辞很少。

挨拶を終えた者が失意にくれながら帰る様を眺めながら、俺はもっと上手くやって見せると野心を燃やす人々の列が何処までも伸びていた。

当看到离开并陷入失落的人们时,我看到了一排又一排的野心家,他们想要做得更好。

「お茶が美味しいね」

"这茶真好喝。"

元日ともなれば、皆実家に戻っている。いつも騒々しい静子の屋敷も、この日ばかりは静寂に包まれていた。

一到元旦,大家都回到了皆实家。即使是常常喧嚣的静子家,在这一天也沉静而平和。

事あるごとに騒動を起こす市と茶々、初も正月の間は織田家に帰省している。

引起骚动的市和茶々,在初正月的时候也回到了织田家。

侍女や下男たちにも休暇と路銀を与えて帰してしまったため、静子の邸宅からはすっかり人気(ひとけ)が感じられない。

由于侍女和下男们也获得了假期和旅行费用,因此静子家已经完全没有了人气。

側仕えが全て出払っているため、何をするにも自分で動くしかないのだが、静子はこれを不便だとは思っていなかった。

所有仆人都出去了,需要的一切都只能自己动手,但是静子并不认为这很不便。

囲炉裏でのんびり湯を沸かし、手ずから自分と彩の分の茶を淹れて一服する。

轻松地烧一壶水,为自己和彩泡上一杯茶。

「美濃産の良い茶葉(ちゃよう)を、ご用意いたしました」

"我准备了美濃产的好茶叶。"

今しがた静子が使った茶筒を掲げつつ、ポーカーフェイスにどこか得意げな表情を浮かべて返答する。

静子提着刚刚使用的茶筒,面无表情却略带得意地回答。

彩とも長い付き合いであるため、僅かな表情の変化を読み取れるようになっていた。

因为与彩相处很久,所以我能够读懂她微妙的表情。

味について言及している訳ではなく、このゆったりとした時間も含めて総評したのだが、と苦笑しつつも彩らしいと静子は笑った。

并不是在谈论味道,而是总结包括这让人感到轻松愉悦的时光。静子苦笑着说,彩则笑称这让生活更丰富多彩。

出会った頃に比べると、両名共に身分が高くなり過ぎた。終始周りに誰かしらが侍(はべ)っているため、二人だけで落ち着いて会話が出来る時間など、正月以外にはあり得なかった。

相较当初相遇时,两人的身份已经变得越来越高。由于始终有人侍候,二人很难有闲暇时光单独交流,除了正月几乎没有其他机会。

近頃の静子は信長の命を受け、家を空けることが多い。一方の彩は、静子の留守中を預かるため、蕭と共に家中を取り仕切る必要がある。

最近静子接到信长的命令需要常常离家,而彩则需要在静子不在时与蕭一起管理府邸。

このため、自然とすれ違い生活をすることとなり、会話はおろか、下手をすれば一月以上も顔を合わせないということさえあった。

这样,他们自然而然地错过了很多时光,有时甚至一个月也无法碰面。

「なんだか、お正月って感じがするよね」

「感觉有点像新年一样呢。」

余人を交えず、彩と二人で落ち着いて話をする。ただそれだけのことが難しい。今の静子には年に一回、正月のみに訪れる特別な時間だった。

他们俩想要安静地交谈,可这却很困难。对于静子来说,这是一年中特别的时光,只有在正月才会出现。

少し昔を思い返す。今の屋敷とは比ぶべくもない狭い部屋に自分が居て、周りを慶次や才蔵、長可、彩が囲む。

回想一下过去的日子。自己当时在一个狭小的房间里,被景次、才藏、长可和彩围绕着。

何を話していたのか思い出せないが、笑い合っていたのは確かだった。昔の方が良かったなどとは言わないが、静子は随分遠くへ来てしまったような心持ちになっていた。

不记得他们当时谈论了什么,但记得当时都在开心地笑。虽然不会说过去的时光更好,但静子觉得他们都已经走得很远了。

「なんだか、色んなものが変わっていくよね」

「好像很多东西都在改变呢。」

「静子様が何を仰りたいか解りかねますが、貴女様が不要と仰らない限り、私は貴女様のお側に仕え続けます」

「虽然不知道静子様的意思,但只要你不觉得我不必要,我会一直待在你身边。」

「……ありがとね」

「……谢谢。」

彩の飾らない言葉を耳にして、静子は少しくすぐったいような気持ちになった。それからはどちらも口を開くことが無かったが、無言の時を気まずいとは思わなかった。

彩说出这句直接的话,让静子有些不好意思。此后两人都保持沉默,但并不觉得安静时光尴尬。

(上様が日ノ本を統一されたら、少しは静かになるのかな?)

(如果大人能统一日本,就能稍稍平静下来吧?)

日ノ本からいくさが消え、世に泰平が齎されれば静かに暮らせるかも知れない。そんな事を夢想しながら、静子は彩と二人の正月を過ごした。

坦然面对并不断憧憬着通过消灭战争实现和平,静子与彩一起度过了春节。

一夜明けて、翌日からはいつも通りに戻っていた。家人たちも戻ってきており、前日の静けさが嘘のような喧噪となっていた。

一夜过去了,第二天就恢复了平常的生活。家里的人也回来了,而前一天的静谧现在变成了嘈杂。

最初の仕事として、まずは信長へ新年の挨拶を告げに行く。今年からは信忠への挨拶も必要となり、準備に皆が慌ただしくしていた。

首要的工作是去向信长拜年。从今年开始也需要向信忠拜年,大家忙着准备。

主君への挨拶を終えても、落ち着いていられる暇などない。三日目にもなると自身の部下や、織田家家中の要人たちも、正月の挨拶に静子の屋敷を訪れる。

向主君拜过年之后,也没有时间平静下来。到了第三天,自己的部下和織田家的要人们也会拜访静子的住所。

家格が上がったため、出向く必要は無くなったが、迎える側になっても大変なのは変わらない。

家格升高了,因此不需要出门了,但即使成为了接待方,也同样不容易。

相手に合わせて通す部屋から、着る衣装まで変える必要があり、事前に蕭と相談していたとは言え、不慣れなのも相俟(あいま)って勝手が分からないでいた。

需要从客人的语调到穿着的装扮进行变化,虽然和蕭事先商量过,但由于不熟悉,自己也不知道该怎么办。

それらを済ませると、次は自分の所領にある主な街へ、新年の挨拶を告げに行く必要があった。

完成这些之后,接下来需要去自己领地中的主要城镇拜年。

この頃になると慶次が戻っておらずとも、他の面々は静子邸へと帰参しているため、行事に護衛としてついてくる。

这时慶次还没有回来,但其他人已经返回静子的宅邸,他们将担任护卫参加这个活动。

ここまでを万事滞りなく終わらせると一息つけるのだが、その頃には一月も半ばを過ぎていた。

直到完成以上任务后才能稍微休息一下,但此时已经过了半个月。

元々松の内と呼ばれる期間は、『小正月』までの15日とされているため、新年は慌ただしく過ぎていく。

本来称为“松之内”的时间段被视为直到“小正月”的第15天,因此新年过得很快。

「ぐえー、やっと終わった」

“哇,终于结束了。”

静子は文机に突っ伏していた。未だに進物のチェックが残っているが、それは大した手間ではない。

静子倚着书桌。礼物检查还没完成,但这不是非常麻烦的事情。

静子が新年の挨拶をしている間に、彩と蕭が身分別に整理した資料を準備してくれていた。

在静子进行新年拜访时,彩和蕭整理了身份的资料。

後は静子が内容を確認し、不足しているところを補うだけとなっていた。書類を確認し、追加で何通かの書を認(したた)め、1時間もすると終わりが見えてきていた。

之后,静子只需要确认文件的内容并补充缺失的部分。检查文件并增加了几个页面,大约花了一个小时就结束了。

「ふーむ。黒鍬衆を抱えているからか、色々な人が来ているね」

“嗯,因为拥有黑骇衆,所以来的人很多啊”

光秀や細川藤孝などの京に拠点を置く有力者や、秀吉を始めとして、柴田に佐久間など織田家譜代の家臣の名が並ぶ。

光秀等京城有力人物如细川藤孝以及織田家族的家臣如秀吉、柴田与佐久间等人名并列。

最低限のお返しはしているものの、追加で何か贈った方が良いと思いながら静子は書類をめくっている。ふと、静子は書類とは別に二通の手紙が添えられているのに気が付いた。

静子虽已做出最低限度的回礼,但她在翻阅文件时,忽然发现两封信放在文件之外。

「なんだろこれ?」

"这是什么?"

手に取って見ると一通は前久からのものであり、もう一通は足満からの文だと判った。前久はともかく、足満が手紙を寄越すのは珍しいなと静子は思う。

她拿起信看到一封是前久写的,另一封是足满的。在前久的信上,即便是足满寄信也是罕见的情况。

急ぎならば、直接出向いてくるであろう足満の文を後回しにし、先に前久の文を開くことにした。

考虑到足满若有急事也会亲自来访,静子于是先打开前久的信封。

書かれていた内容は、朝廷所有の宝物殿である正倉への立ち入りを認める旨が記されていた。

信中写有允许进入朝廷财宝库"正库"的内容。

「これは……ふむふむ」

"这个……嗯嗯"

正倉とは時の朝廷が財物を保管するために設けた倉であり、現代ではその殆どが焼失してしまっていた。

正库是由当时的朝廷为保管财物而设立的库房,现在大部分都已被烧毁。

かつては南都七大寺にそれぞれ正倉が立ち並ぶ区画を塀で囲った『正倉院』が存在したが、現存しているのは東大寺正倉院の中にある一棟だけとなってしまった。

曾经,南都的七大寺院都被高墙分隔成不同区域的"正库院",但现在只剩下东大寺正库院一栋。

当時の宝物が時を越えて、今なお良好な状態を保っている理由は、高床式の構造により湿損や虫害を防げた事が一つ。

宝物经历了时间的洗礼,但至今仍然保存完好的原因是因为采用了高台式的建筑构造,可防潮可防虫蛀。

勅封制度で厳重に管理され、みだりに開封されなかった事が理由に挙げられる。

它受到勅封制度的严格管理,如此才不会轻举妄动开封。

「流石に時期は未定か。まあ、当然だよね」

"当然,目前的时机是未确定的。"

厳重に封印され、限られた人の目にしか触れない正倉の宝物を閲覧出来る権利を得られた背景には、越前での行動があった。

得到欣赏文物封印的权利,这得益于一乘谷行动。

静子自身が意識しての事ではなかったが、一乗谷にある文物を避難させてから焼き討ちしたという事実は、文化の担い手を自称する公家や朝廷にとって大事件であった。

这件事在公家和朝廷人士中引起了轰动。虽然静子自己没有意识到,但将文物移至一乘谷并避免遭到火烧一事,对文化的支持者来说是重大的事件。

信長にとって朝倉とは幾度も煮え湯を飲まされた存在。その朝倉をして、信長に文物を運び出す猶予を願い出て、それを認めさせたという事実は重かった。

对信长来说,朝倉是一个让他屡次吃过苦头的存在。朝倉求得瓜田文物暂缓交出的请求被信长批准,这一事实具有重要意义。

直接信長に会う機会の無い公家達にとって、信長とは鬼神の如く恐ろしい存在であり、その信長を制して文物を保護する静子に、公家達は『文化の守護者』の姿を見た。

对于无法直接见到信长的公家们来说,信长就像鬼神一样可怕。公家们看到静子保护文物并制约信长,认为她是“文化守护者”。

「いつ許可を頂いても良いように、準備だけは怠らないようにしないとね」

“为了随时可以获得许可,我们必须准备充分。”

朝廷の宝物庫であるため、容易に開かれることはない。それを理解している静子は、逸る心を抑えつつ、先方の出方を待つことにした。

由于这是朝廷的宝库,因此不会轻易开放。静子明白这一点,抑制住激动的心情,决定等待对方的回应。

静子は気づいていなかったが、正倉への立ち入り許可証に日付が記されていないのには、朝廷の狙いが存在していた。

静子没有意识到访问正库的许可证上没有日期,这反映了朝廷的意图。

もしも静子が許可証の内容に不満を持ち、強権を以て立ち入りを要請すれば、朝廷側は理由を付けて断るつもりでいた。

如果静子对许可证的内容不满意并采取强制手段要求进入,朝廷一定会找理由拒绝她。

計らずして宝物を前にしても、利己的に振る舞うことのない理性的な人物とみなされた静子は、避けておいた足満の文を開く。

静子被视为一个理性的人,不会因为面对宝物而表现出自私的行为。她打开了足满的信。

「ふーん。剣術指南役として柳生家の協力を仰げることになったんだ。わざわざ文で送ってくるから、対立関係にでもなったのかと思ったよ」

“哦,我明白了。我已经成为柳生家的剑术指南了。他专程发来这封信,我还以为我们之间会产生矛盾呢。”

現在の柳生家は、足満にとって因縁の深い松永久秀に仕えていた。

目前的柳生家为足满所倾慕的松永久秀效力。

その松永が正月の挨拶として岐阜を訪れた際に、足満は強引に交渉の場を持った。松永は快諾(・・)してくれた、と文にはあった。

在新年拜访岐阜期间,足满硬生生谈成了交易。松永在信中表示无条件接受。

「貴様には拒否権など無い。承服するか、いくさ支度をするか、好きな方を選べ」

“你没有拒绝的权利。你可以服从这个条件,或者准备好参加战争,自行决定。”

「努々(ゆめゆめ)、逃げようなどとは思うなよ? 貴様の一挙手一投足は常に見られていると思え」

“你要认为任何时候都会有人监视你的一举一动,所以不要想着逃走。”

「ここで決断せずとも構わぬが、後日になる程に条件は厳しくなると心得よ」

“你可以不在此时做出决定,但随着时间的推移,条件会越来越苛刻,所以请好好考虑。”

「誤解が無いよう念を押すが、これはわしの一存ではなく、織田殿の意向として伝えておる」

"我再强调一下,这不是我个人的决定,而是继承自織田殿的意愿。"

「これらを踏まえた上で、可及的速やかに返答を寄越せ」

"在考虑以上因素的基础上,请尽快回复。"

「貴様が柳生を惜しんで、返答をせぬと言うのならば、こちらにも考えがある。そう怯えることは無い。少なくとも国許までは帰れよう。今は(・・)な」

"如果你因为怜惜柳生而不回复的话,我们也有自己的考虑。不需要害怕,至少可以回到国内。现在是(・・)。"

このような明らかに恫喝めいた交渉が行われていた。交渉とは名ばかりの、一方的な最後通牒に過ぎない内容を知らない静子は、柳生家の受け入れについて思案していた。

"这样明显的恐吓似的交涉正在进行。静子并不了解这个所谓的交涉只是单方面的最后通牒,正在思考接受柳生家的事情。"

今の柳生家当主は宗厳が務めている。しかし、当の宗厳はいくさからの帰国途中に落馬し、大怪我を負っていた。

"现在的柳生家当家是宗厳。但是,宗厳在返回故乡的途中落马,受了重伤。"

嫡男の巌勝に至っては、辰市城の合戦で負傷し、介添えが無くては起き上がれない状態であった。

"而继承人巌胜在辰市城之战中受伤,不能自行起身。"

後世に於いて柳生新陰流の地位を確立した宗矩(むねのり)も、この時点では年端もゆかぬ童に過ぎない。

"后来成为柳生新阴流地位确定者的宗矩,此时还只是个年幼的孩子。"

先祖代々の所領があるため、誰を派遣してくるのかと考えると、一抹の不安があった。

"考虑到世代相传的领地,不知该派遣谁前去,让她有些不安。"

(順当にいけば次男の久斎かな? 三男の徳斎は幼少期に出家しているから、まず対象に挙がらないよね。四男の宗章(むねあき)だと、十にも満たない少年……うーん、これは厳しいかなあ)

"(该派遣次子久斋吗?三子徳斋早年出家了,应该不会被提及。四子宗章还不到十岁……嗯,这可能有点困难。)"

現状から判断すると、宗章が元服を迎えるまで待つのが得策だと、静子は考えた。

"从目前的情况判断,等宗章元服后再考虑可能是最好的选择。"

現時点では満足に指南など出来る人物が居ない。

"目前没有能够出色指导的人。"

上泉信綱の直弟子であり、柳生宗厳を倒し(諸説あり)、史実では織田信忠や豊臣秀次などに兵法を伝授したとされる疋田(ひきた)景兼(かげとも)も考えたが、今どこにいるかが判らない。

"考虑到上泉信綱的直系弟子,击败了柳生宗厳(有多种说法),被认为教授了兵法给織田信忠和豊臣秀次的疋田景兼,但现在不知身在何处。"

彼が候補に挙がらない理由として、彼の放浪癖が挙げられる。史実では生涯武者修行の姿勢を貫き、決して一つ所に留まらない流浪の生活を続けていた。

他没有被列为候选人的理由是因为他有流浪的习惯。根据历史记录,他一直保持着武者修行的姿态,过着漂泊不定的流浪生活。

「流石に剣術指南役が、武者修行の旅と称して、度々行方(ゆくえ)を晦(くら)ませるのは問題だしね」

"当然,作为剑术指南的人,经常称为武者修行之旅,却总是神出鬼没,这是个问题啊。"

腰を据えて考える必要があるなと、静子はため息を吐いた。そんな彼女に、更なる追い打ちをかける事態が訪れる。

静子深吸一口气,意识到需要静下心来仔细考虑。但在这个时候,更加不寻常的情况出现了。

それは一月も末、もう数日で二月になろうかという時期のことだった。信長から呼び出しを受け、静子は彼の居城である岐阜城へと向かっていた。

故事发生在月末,距离二月只有几天。静子接到信长的召唤,前往他的居城岐阜城。

城では堀と蘭丸の凸凹コンビが相も変わらず、漫才じみたやり取りをしながら静子を案内する。襖が開かれ、静子の目に飛び込んできた光景に、彼女は及び腰となった。

在城中,堀和兰丸像往常一样,一边说笑着一边带领着静子。当屏门被打开时,静子看到的场景让她不禁退却了一步。

「よくぞ参った。待ちかねておったぞ」

"终于来到了。我一直在等你啊。"

静子は信長の言葉に驚いた訳ではない。上座におわす信長を中心に、左右にずらりと重臣達が揃っている現場を見て、ただ事ではないなと怯んだのだ。

静子并没有因为信长的话而感到惊讶。她看到信长坐在上座,左右两侧都是重要的臣子,不由得发抖。

嫡男の信忠を始め、秀吉に光秀、柴田に佐々、前田利家に丹羽長秀等、錚々たる面子が揃い踏みをしていた。

包括嫡子信忠、秀吉、光秀、柴田、佐々、前田利家和丹羽长秀在内的一众名将都来了。

己の場違いさに乾いた笑みを浮かべつつ、静子は上座のほど近くに用意された席に、恐る恐る座った。

虽然感到自己与这些人格格不入,但带着干笑的表情,静子小心翼翼地坐在了上座旁边准备好的席位上。

「さて、静子の到着を以て全員が揃ったな。ようやく話を始められる」

"好了,现在大家都到齐了,我们可以开始谈了。"

信長の言葉に全員の表情が引き締まった。信長が明言せずとも皆が理解していた。これから信長が告げる内容によって、己の進退が左右されるということを。

信长的话让所有人的表情变得严肃。即使信长没有明确说明,每个人都明白,接下来的内容将决定他们的前途和命运。

全員が信長の言葉を聞き漏らすまいと固唾を飲むが、その様子が面白かったのか信長は笑みを浮かべつつ口を開いた。

所有人都紧紧盯着信长的嘴巴,听得非常仔细,信长看到这种情况不禁露出了笑容。

「そう急くでない。まずは朝廷より、面白い勅書(天皇からの命令書)が届いた」

「不用着急。首先从朝廷那里收到了一份有趣的诏书(天皇的命令)」。

その言葉と同時に、背後に控えていた小姓が動き出す。二人の小姓が膳に載せられた勅書を恭しく捧げ持ち、静子と光秀の前にそれぞれの膳を置いて下がる。

同时,身后的小姓开始行动。两个小姓恭敬地把膳上的诏书捧给了静子和光秀,然后退下来。

静子は視線だけを光秀へ向けるが、彼も同じことを考えていたのか、はからずして二人で見つめ合う恰好となった。

静子只望向光秀,但他也在想同样的事情,不由自主地对视了一下。

二人の行動をよそに、信長は顎で静子を促した。読め、という事だろうと察した静子は、勅書の中身を検める。

尽管有两人在进行着行动,但信长用下颚示意静子阅读。明白这是让她阅读诏书内容的静子,开始检查诏书的内容。

「帝(みかど)が、その方ら二人に芸事の保護を任せたいそうだ」

「天皇想把艺术保护的责任委托给你们两个人」。

独特の難解な言い回しに四苦八苦している静子を見て、信長が勅書の内容を要約して語った。

静子不得不艰难地理解独特而复杂的措辞,但信长简要地总结了诏书的内容。

新たな役職を設け、朝廷が後援するから、日ノ本各地に散らばっている芸術品や、職人たちの保護をせよとの内容だった。

诏书提议成立一个新的职位,由朝廷支持,并要求保护散落在日本各地的艺术品和手工艺人。

形式上は命令だが、断る事も可能という、懇願に近い内容であった。朝廷の宝物を預かる東大寺でさえ、過去に二度の焼き討ちに遭っている。

在形式上,这是一项命令,但实际上可以拒绝。即使是东大寺,保管朝廷宝藏的机构,也曾两度遭受火灾。

勿論、宝物を狙っての焼き討ちではなかったが、仏教の総本山の一つに数えられる東大寺ですら安全ではない。

当然,这并不是为了争夺贵重物品而发生的火灾,但甚至被视为佛教的总本山之一的东大寺也不安全。

特に松永久秀と三好三人衆が繰り広げた、東大寺大仏殿の戦いは公卿たちの心胆を寒からしめるのに十分であった。

特别是由松永久秀和三贤将军引发的东大寺大佛殿之战,足以让公卿们感到震惊。

「面白いので、静子が引き受けよ。キンカンはその様な事にかかずらうな。貴様には別の仕事を申し付ける」

「因为事情很有趣,所以由静子来负责。金菊不要涉足这种事情,我会让你完成其他工作」。

「はっ、承知致しました」

「好的,我明白了」。

勅書こそ渡されはしたものの、結局は信長が方針を決定した。

尽管赠送了诏书,但最终决策还是由信长做出的。

信長の言葉から、勅書には静子と光秀のどちらかが受けてくれさえすれば良いと、書かれていたのだと言う事を理解した。

从信长的话中可以理解,诏书上只是写着如果静子或光秀中的任何一人愿意接受这个任务,就可以了。

今や武家の頂点に立ち、天下に一番近い位置にいる織田家の威光と、地方を纏める寺社たちの力を合わせれば、文物の保護が出来ると朝廷は考えたのだろう。

现在,朝廷认为如果把織田家的威光和地方上的寺社之力结合起来,就可以保护文物。織田家现在是武家的顶点,处于距离天下最近的位置。

(ふむ……)

(嗯……)

しかし、この話を受けたところで信長に利益が無いことが腑に落ちない。芸事にも理解を示すとは言え、信長はそこまで文芸に入れ込んでいる訳ではない。

然而,信长觉得接受这个提议对他没有好处。他对文艺也有一定的理解,但并不会过分去关注它。

何処に信長の琴線に触れる要素があったのか、そこを抑えておかないと信長の期待を裏切ることになる。信長が自ら明かさない以上、自分でその胸の裡を推測するより他にない。

如果找不到能触动信长心弦的东西,就无法满足他的期望。既然信长不会披露自己的内心,那么只能自己去推测。

(…………あ、分かったかも)

(…………啊,我可能知道了。)

信長が柴田と話している間中、ずっと静子は沈思黙考していた。幾つか推論は浮かんだが、確信を得られずにいたところ、信長が漏らした『茶器』という単語を、静子の耳は拾い上げた。

当信长与柴田交谈时,静子一直在沉思默考。她想到了几个推论,但没有确信的答案。然而,当她听到信长说出“茶器”这个词,她立刻明白了。

欠けていたパズルのピースが揃う。静子は全てを理解した。

所有的疑点都瞬间消除了。静子明白了所有事情的真相。

(文物の保護となれば、当然茶器もその対象に含まれる。帝の勅命で文芸の調査をしていると言えば、この要請を突っぱねることは出来ない。上様が気に入れば、持ち主には期限を定めない借用書と、協力に対する感状が届けられるんだろうね)

(如果说是保护文物的话,那么茶器当然也会被包括在内。如果说是帝王的命令去调查文艺的话,那么无法拒绝这个请求。如果上级满意的话,持有者会收到一份无期限借用书和一份协助感谢状。)

飛ぶ鳥を落とす勢いの織田家に加え、衰えはしたものの決して侮れない朝廷が手を組んだ。武力では織田家に劣り、大義名分すら相手にある。

織田家虽然力量强大,但武力不如其他对手,甚至没有大义名分。

この状態でいくさを仕掛けるなど愚の骨頂。協力の要請とは名ばかりの、徴発行為に他ならないが、逆らえば『朝敵』として後世に名を残すことになる。

在这种情况下,发动战斗等行为是徒劳的。他们会以征收行为的名义来请求合作,但如果反抗的话,就会被称为“叛逆者”留名青史。

(上様の狙いは判ったけど、最初から力業に頼ると反発が怖いから、まずは穏便に進めよう。近衛様や細川様のご助力を願おうかな?)

(虽然我理解上级的意图了,但因为害怕对抗而凭借力量行事并不是一个好主意。首先我们应该采取和平方式。我该请求近卫或细川的协助吗?)

大義がこちらにあるとは言え、最初から喧嘩腰で挑む理由もない。強権に頼るのは最終手段にしよう、そう結論付ける静子だった。

虽然我们的大义在此,但毫无理由地以挑衅的态度开始是不明智的。静子得出结论要最终诉诸强权。

静子が一人で頷(うなず)いていると、信長が柴田の処遇を発表した。北陸に巣くう最後の敵、加賀一向宗の討伐に際し、柴田勝家を総大将に任じた。

当静子点头表示同意时,信长公布了对柴田的处理。他被任命为北陆最后一位敌人加贺一向宗的总指挥官。

柴田が率いる北陸方面軍の陣容は、秀吉や佐々、前田利家に不破光治らを与力として付けられていた。この織田家内でも有数の軍勢を以て、北陸を平らげろと命じられていた。

柴田领导的北陆方面军规模庞大,由秀吉、佐佐、前田利家和不破光治等得力助手组成。他们被指挥去征服北陆。

この人事から、北陸を任されるのは柴田であると確定した。家臣達の出世争いでは、柴田が一歩先んじた形となる。

这次人事变动确认了柴田成为北陆的领袖。在家臣们的升迁竞争中,柴田已经领先。

栄達に興味がない静子を除く、他の重臣たちは、ことの重大さを理解していた。

除了不对栄達感兴趣的静子之外,其他的重臣都理解了事态的重要性。

(ここは、史実通りなんだ)

(这是历史事实)。

史実では、柴田勝家が1580年11月17日に加賀国を平定し、実に90年もの間、幾度も繰り返された一揆の歴史に終止符を打った。

历史上,柴田勝家于1580年11月17日征服了加贺国,结束了经历了多次暴动的一揆的历史达90年之久。

今回の場合も柴田が平定の任を受けたが、史実とは社会情勢が異なっていた。

在这次事件中,柴田负责平定任务,但社会形势与历史有所不同。

史実では上杉謙信が加賀国まで進出し、柴田は手取川の戦いに於いて謙信に煮え湯を飲まされることとなる。

历史上,上杉謙信攻占了加贺国,柴田在手取川之战中被迫接受失败。

然るに、現状では上杉家とは同盟を結んでおり、情勢を鑑みても裏切りに遭う可能性は極めて低い。越前には光秀が陣取り、彼は加賀一向宗の退路を断つことを任されていた。

然而,目前与上杉家结盟,考虑到形势,受到背叛的可能性极低。光秀在越前阵地,他的任务是切断加贺一向宗的退路。

これらを踏まえると、加賀一向宗には最初から勝ち目など存在しない。武装解除し、信長の支配を受け入れるか、それとも全滅するまで戦うかのどちらかしか道はなかった。

可以看出,加贺一向宗从一开始就没有胜出的可能;只有放弃武装并接受信长的统治,否则就只有战斗到全军覆没的结局。

「見事、大役を果たしてご覧に入れましょうぞ」

“让我们一起见证他所扮演的伟大角色。”

「決して、こちらから攻め込むでないぞ。ひたすら奴らを挑発し、奴らが攻めてきたという大義を得て後(のち)、反撃せよ」

"我们绝不会主动进攻。只是挑起他们的愤怒,等到他们攻击我们后,再反击。"

これは壮絶な我慢比べであった。現在信長は本願寺と和平を結んでおり、この間に他の本願寺派が信長を攻撃した場合、石山本願寺は黙ってみているしかない。

"这是一场激烈的忍耐比赛。目前信长已经与本願寺达成和平协议,如果其他本願寺派别在这期间攻击信长,石山本願寺只能默不作声。"

加賀一向宗が先に信長に仕掛けたという体裁さえあれば、石山本願寺は一兵たりとも動かすことが許されない。

"只要让别人认为加贺一向宗先向信长发起了攻击,石山本願寺就不能动一兵一卒。"

和平の約定に反すれば、それ自体が信長に石山本願寺攻めをさせる大義名分となってしまう。

"如果违反和平协定,那就会成为信长攻打石山本願寺的正当理由。"

「貴様の思うように攻めてみよ」

"按照你想的那样去攻击吧。"

信長は敢えて柴田に具体的な方針を示さなかった。信長は柴田に北陸の統治及び、謙信の抑え役を担わせる心づもりであった。

"信长故意没有给柴田具体的方针。他打算让柴田负责北陆的治理和兼任謙信的遏制。"

その為には、そろそろ全てを自分で考えて動ける必要があると判断したのだ。

"为此,他认为柴田必须开始自己思考并采取行动。"

信長が柴田に試練を課したのは、柴田がどちらかと言えば指示待ちタイプの武将であるためだ。

"信长给柴田设置考验是因为柴田更倾向于等待指令的武将。"

彼は信長という主君を抱くからこそ、100の力を発揮するタイプであった。主命を受ければ躊躇なく前に進めるが、自身が考えるとなると判断が出来ないでいた。

"他是那种只有拥护信长这个主君才能发挥全力的类型。一旦接到命令,他就勇往直前,但如果要自己考虑,他就无法做出决定。"

しかし、北陸を任せるにはそれではいけない。信長の目が行き届かない以上、柴田は自分で考えて判断し、その場に応じた対策を取らねばならない。

"但是,如果他要负责北陆,光是那样是不够的。除非信长能够像自己那样全面照顾,否则柴田必须自己思考和决策,并根据情况采取措施。"

この加賀一向宗征伐は、柴田が北陸を治めるに足るかを見極める、試金石となる。

"这场征讨加贺一向宗的战争是柴田是否能够治理好北陆的试金石。"

「はっ! 必ずや朗報をお届け致します!」

"明白!我一定会带来好消息的!"

「此度の采配に言いたい事もあろう。しかし、今は北陸平定に注力するのだ。ここを崩せば、残る拠点は紀伊のみよ。貴様らは、そちらで手柄を立てるが良い」

"虽然此次决策可能会有不满,但现在我们要专心于平定北陆。如果在这里失误了,我们就只剩下紀伊一地了。你们可以在那里立功。"

「ははっ!」

"哈哈!"

真っ先に柴田が応じ、秀吉や光秀たちもそれに倣って平伏した。彼らの様子に信長は満足げに頷く。

最先响应的是柴田,秀吉和光秀也跟着平伏。信长满意地点了点头。

「静子。貴様には独断で動く裁量を与える。この世の誰しも、貴様の動きには注意を払わずにはおられまい。敢えて貴様を自由にさせることで、場を掻き乱すことが出来るやもしれぬ」

"静子啊,我给你自行决断的自由。任何人都不会忽视你的行动。放手让你行动,或许可以搞乱场面。”

「は、ははっ」

"哈,哈哈"

静子は信長の言に面食らった。いわば白紙委任状を託されたに等しい。信長の指示を仰がずとも、静子の判断で軍を動かすことが可能となる。

静子吃了一惊,这等于是授予了她一张空白委任状。即使不遵循信长的指示,静子也能够根据自己的判断行动军队。

静子の性格上、織田家にとって不利益となることはしないという信頼の証とも言えた。単独部隊でも目覚ましい戦果を挙げる静子軍が遊撃に回る。

从静子的性格上看,这也可以看作是对織田家的信任。即使只有单独的部队,静子军也能在游击战中取得巨大的成果。

これ程、敵対勢力にとって厳しいことは無い。局面を一手でひっくり返す『鬼札』が、見えない場所に伏せられているのだ。

对敌对势力来说,没有比这更为严峻的事情了。'鬼牌'可以在看不见的地方反转局面。

名にし負う静子軍が姿を見せないというだけで、敵に圧力を掛け続けることが出来る。

只要名声显著的静子军消失不见,就可以对敌方施加压力。

(静子の縛りを解けば、家臣共は挙(こぞ)って協力を要請に動こう。まずは家中の諍いを取り仕切る手腕を見せて貰おう)

(一旦解除了静子的约束,家臣们将会挺身而出协助。首先要看到她处理家中纷争的手段。)

あえて静子を自由にした理由。それは、この場に居合わせた野心溢れる家臣達の動きを見る狙いもあった。

让静子自由的原因是,观察到场上充满野心的家臣们的动向。

今は互いに牽制し合い、口にこそ出さないものの、目は雄弁に語っていた。秀吉や光秀、それに柴田までもが如何にして静子を自陣営に取り込むかを、虎視眈々と狙っている。

秀吉、光秀和柴田等人,默默观察着如何把静子纳入自己的阵营。

(さて、こ奴らの舵取りが出来るか否か、それ次第で国を任せられるかが判る。静子を餌に皆が動き、どう転んだところでわしに損はない。ふふっ。鬼が出るか、蛇が出るか、結果を楽しませてもらおう)

(那么,取决于他们是否能够操纵局面,决定是否将国家交给他们。所有人被静子吸引,不管结果如何,我都不会受到损失。嘿嘿,看看究竟是鬼在出,还是蛇在出,让我们享受结果吧。)

信長や柴田たちの思いを他所に、静子は暢気にも、どうやって文物を保護しようかと思案していた。

忽视信长和柴田等人的想法,静子闲逸地思考如何保护文物。

皆が落ち着きを取り戻した頃合いを見計らい、信長が再び口を開いた。

在所有人恢复平静之后,信长再次开口。

北陸に続いて、信忠に東国征伐の総大将を命じる。

紧随北陆,命令信忠成为东国征讨的总指挥官。

もはや、かつての勢いはないとはいえ、未だに強国として存在を示す武田。そして武田や上杉と伍すると言われ、未だに旗幟を鮮明にしない北条。

武田虽然已经失去了曾经的势力,但仍被看作是一个强国,并与上杉合作,而北条尚未明确自己的立场。

本来ならば三竦(すく)みの状態だが、上杉を取り込んだことで天秤は大きく織田へと傾いた。

本来应是三足鼎立的状态,但因为取得了上杉的支持,天平大幅向織田方倾斜。

ここまでお膳立てを整えれば、信忠が後継者となるに相応しい武勲でありながら、命を落とす危険性は格段に低くなる。

如此一来,准备就绪,信忠就能成为合适的继承人,而且死亡风险也明显降低。

「東国征伐の任、承りましてございます」

“我接受东国征讨这个任务。”

武田や北条と言った列強に怯えることなく、信忠は堂々たる態度で拝命する。一廉(ひとかど)の武将としての片鱗を見せ始めた信忠に、信長は頼もし気な笑みを浮かべた。

信忠毫不害怕列强如武田和北条,以一位优秀武将的风度冷静地接受任务。信长面露放心的微笑。

その後、各自準備を怠るなという信長の言葉で、場は締め括られた。

随着信长的话语,“各自准备不要怠慢”,会议结束了。

真っ先に静子に声を掛けたのは信忠だった。彼は用事も終わったし、早々に退散しようとしていた静子を見つけ、有無を言わさずに引っ張り込んだ。

首先找到静子的是信忠。他找到已经完成任务并准备离开的静子,毫不客气地把她拉了进去。

「間者を貸して欲しい?」

“能借给我间谍吗?”

機先を制して用件を告げる信忠に、胡乱(うろん)げな視線を向けつつ、彼女は信忠の言葉をオウム返しに口にした。

在信忠急于展示诚意的时候,她不情愿地把他的话原样复述。

「うむ。先だって東国出身の武将を取り込んだのであろう? なんと言ったか……」

“是啊。你不是最近招募了一个东国出身的武将吗?他叫什么来着......”

「もしかして真田家の事かな?」

“你是说真田家吗?”

「そうそう、その真田何某(なにがし)だ。借りたいとは言ったが、俺が運用する訳ではない。真田何某に率いて貰い、噂を流して欲しい」

“是的,那个真田某某。我只是借用,不是由我来调动。请真田某某率领间谍队,散布一些谣言。”

「……何となく狙いは読めたけど、君の口から正確に教えて欲しいかな?」

“......我有些明白你的意图,但我希望你能准确地告诉我。”

噂を流すという時点で、静子は信忠が何をしたいのかを察していた。

在散布流言时,静子就已经猜到了信忠想做什么。

信長は得てして言葉が足りず、彼の胸の裡を探る事に慣れた結果、信長が皆まで語らずとも意図するところを酌(く)めるようになっていた。

信长通常话不多,熟悉他内心的人会领会到他的意图,即使他没有说出口。

しかし、静子の察しが良いことに胡坐(あぐら)をかき、信長は静子以外には到底理解出来ない大雑把な指示を出すようになった。

然而,由于静子太过敏锐,信长开始向她之外的人发出粗略的指示,他们无法理解。

噛んで含めるようにとは言わないが、せめて必要最低限の指示が欲しいと思う静子であった。

静子并不想被咀嚼和含蓄,但至少希望得到最基本的指示。

「狙いは単純。民の心を武田から離す。いくさに当たっては、現地の民が協力的であるかが状況を左右する。元より有利な状況ではあるが、なればこそ更に優位を揺るぎなきものにするべく一手を講じる」

“目的很简单。即使在作战中,当地居民的合作意愿会左右局势。虽然本来就有优势,但我们会通过一系列措施进一步巩固优势。”

「敵地に浸透して、離反工作をするとなると相当に時間が掛かるけど、それは織り込み済みと考えて良いんだよね?」

“潜入敌境并进行叛变工作需要相当长的时间,但这是预计内的。”

「当然だ。じっくりと腰を据え、徹底的にやる。勝頼が民に施しをしようとも、何か裏があるのでは? と疑心を抱くほどにな」

“当然了。我们会稳扎稳打,彻底地做好准备。即使获得胜利,勝须也会遭到民众猜疑,我们需要高度警惕。”

信忠の作戦は、単純だが効果が高い。基本的に武士は何も生み出さない。作物を育てる民の心が離れれば、如何に軍事力があろうとも、いくさをしているどころではなくなる。

信忠的战略很简单但非常有效。基本上,武士不生产什么。如果让种植作物的民心离散,即使有多么强大的军事力量也无济于事。

顕著な例として、史実での『長久手の戦い』に於ける家康の行動がある。家康は村々の長に対して妻子を人質に差し出させ、池田軍に内通されないよう対策を取った。

反映这一现象的一个显著例子是历史上的“长久手之战”。家康让村长交出妻子和孩子作为人质,防止与池田军通敌。

これは徳川・織田信雄連合軍が地元の民から嫌われていたことが原因とされる。

这是因为德川・织田信雄联合军惹恼了当地居民。

民の心が離れれば、それによる利敵行為を防ぐために、更なる苛烈な措置を取らざるを得ず、悪循環に陥っていく。

如果民心离散,为了避免敌人获利,必须采取更加残酷的措施,从而陷入恶性循环。

史実での信忠は、僅か一月ほどで甲斐を攻め滅ぼしているが、これも勝頼が民たちから疎まれ、為政者を挿(す)げ替えるべく動いたためと言われている。

根据历史记录,信忠仅用了约一个月的时间就攻占了甲斐。据说这是因为勝頼被民众所不满,为了更换治政者而采取行动。

民たちは積極的に織田軍を招き入れ、武田軍の内情を報せ、村や田畑を焼いてまで織田に降った。

民众积极地邀请織田军进入,并报告武田军的内情,甚至烧毁村庄和田地,最终向織田军投降。

民心が離れたことで、防衛側が焦土作戦を受けるという屈辱的な情勢を生み、短期決着を促した。

因为民心离散,防御方被迫采取焦土策略,这是一种屈辱的情况,加速了短期解决的过程。

「そこまでするとなると、勝頼の問題点を突いて、家臣達への求心力を地に落とす必要があるね。まあ、今でも既に嫌われているし、武田家の家督相続に関する教育も受けていないから、譜代の臣に軽んじられているよね……そういう意味では、少し哀れだね」

"如果要做到那样,就需要抓住勝頼的问题并降低对家臣的忠诚度。嗯,他现在已经不受欢迎,而且没有接受与继承武田家家督相关的教育,所以他受到譜代臣子的轻视......就这个意义而言,他有点可怜。"

勝頼の辿った人生の足跡を知る静子は、そうひとりごちた。武田信玄の四男ではあるが、庶子であったため、勝頼は兄弟の中で唯一母親の生家である、諏訪家の名跡を継いでいる。

静子了解了走过的人生道路,知道勝頼是武田信玄的四儿子,但由于是私生子,勝頼继承了母亲的家族——諏訪家的家名。

武田を名乗れぬがために、家臣達から軽んじられ続け、成人後も武田家直系の男子には必ず与えられる『信』の字を授かれなかった。

由于无法使用武田的名字,因此被家臣视为低贱,成年后也没有被授予像所有武田直系男孩一样必须得到的“信”字。

この沙汰に勝頼が大きな不満を抱いていた可能性があるが、信玄や譜代の重臣たちはそれを黙殺した。

勝頼可能对这种说法感到不满,但信玄和譜代重臣们将其置之不理。

信玄亡き後、武田家の当主となった勝頼だが、最初から中継ぎ当主扱いであった。更に甲斐守護職や、大膳大夫などの官位が、勝頼には一つも与えられなかった。

在信玄去世后,勝頼成为武田家的家主,但一开始就被视为代理家主。此外,它也没有被授予任何职位,例如甲斐守護職或太守等。

いくさに於いても風林火山、武田菱などの武田家を象徴する旗の使用も禁じられた。そのため一門衆や御親族衆、譜代の重臣たちは勝頼を更に侮った。

在战斗中,武田家的象征旗帜,如风林火山和武田菱等,被禁止使用。因此,一门衆,御親族衆和譜代重臣们更加轻视勝頼。

率先して勝頼の言いつけに背き、勝頼の政策を無視した独断に走る。その結果、良い成果が出れば手柄を己のものとし、悪ければ勝頼のせいにした。

先行违背胜利的命令,自作主张无视胜利的政策。如果有好的成果,就把功劳归于自己,如果糟糕,就怪罪于胜利。

武田家の家督を継ぐ教育を施されぬまま、信頼できる参謀や腹心を得られぬまま、武田家の家督を継いだ。

在没有接受武田家继承教育的情况下继承了武田家的家督,也没有得到信赖的参谋和心腹。

この為、諏訪家からは「武田の人間」として距離を置かれ、武田家からは「諏訪の人間」として一段低く見られていた。

因此,被諏訪家看作是“武田家的人”,而从武田家的角度看,被看成是“諏訪的人”。

形式上とは言え、主君を主君とも思わない家臣達を纏めることが出来ず、信玄亡き後の武田家の凋落を決定づけた、愚将として名を残している。

虽然形式上是家臣,但不能将主君视为主君,无法统合家臣们。因此,被称为面对信玄死后的武田家衰落的愚将。

「先代が偉大であったがための不遇には同情するが、手加減はせぬ」

“我可以同情因先代伟大而遭受不幸的人,但不会手下留情。”

「……まあ、そうだよね」

“......是啊。”

史実以上に過酷な道を歩み始めている勝頼だが、それでも武田家の家督を継いだ以上、手を緩めることは出来ない。

虽然胜利开始走着比历史更加艰难的道路,但既然继承了武田家的家督,就不能放松警惕。

武田家を討つことで初めて、織田家は武家の頂点を名乗れるのだから。

只有通过击败武田家,織田家才能成为武家的顶点。

「三年、いや二年かな? 豪商たちにも武田家が素性を隠して商いを持ちかけて来るだろうけど、構わず取引しても良いって通知をしておくね」

“三年,或许两年吧?即使武田家隐藏了自己的身份和商业交易接触,我们也可以交易。我们应该通知豪商们。”

「それでは武田が力を取り戻してしまうのではないか?」

“那么,武田家会恢复力量吗?”

「ある程度の力は戻るでしょうね。でも、功を焦る勝頼は軍備拡張を強行しようとするんじゃないかな? その軍備を買い付ける資金は何処から調達すると思う? 順当に考えれば領民から更に徴収するしかないよね。今の武田家の戦力じゃ、他国に攻め入る余裕なんてないからね」

“他们会恢复一定的力量。但是狂妄自大的胜利会试图强制扩大军备。从哪里获得军备购买资金?从正常的考虑来看,只有向领民征收更多的税款。以目前武田家的战力,没有余裕攻击他国。”

出来たとしても国境付近を少々掠め取る程度が関の山だろう。しかし、それをすれば僅かばかりの利益と引き換えに、他国の恨みを買うだけだ。

即使可以,也只能抢夺边境地区的小部分。然而,仅仅为了微薄的收益而引起他国的不满是不值得的。

今の武田家には、所領に重税を課す以外に取りうる復興の道が無い。出来ることならば、新府城の築城に着手して欲しいと静子は願った。

目前的武田家除了向领地征收重税外,没有其他复兴之路。如果可能的话,静子希望开始筑造新府城。

新府城の築城は、経済復興を目的とした公共事業だが、その利益に与れる者は限られ、国全体へと利益が再配分される仕組みにはなっていない。

建造新府城是为了经济复兴的公共工程,但受益者有限,没有机制使利益再分配到整个国家。

過度な負担を背負わされ、領民の不満が一気に爆発すれば、甲斐の至る所で一揆が起こる可能性もあった。

如果负担过重,领民的不满情绪一旦爆发,可能会在甲斐各地引发暴动。

「なるほど……確かにどうしようもないな。まあ、細かいところはそちらに任せる。静子や真田何某が良いと思う方法で、民の心を勝頼から離してくれ。俺はその後の統治について考えておこう」

「我懂了......确实没什么办法。细节就交给你们吧。静子和真田某人可以用他们认为合适的方法,把民众从信赖勝赖的心态中解放出来。我会思考之后的治理问题。」

静子の言わんとする事を理解した信忠は、内容の確認を込めて何度も頷いた。

了解静子的意思后,信忠多次点头确认。

信忠と別れ、今度こそ帰路に就こうとした静子だが、部屋を出てすぐに声が掛かった。

与信忠告别后,准备返回的静子刚出门就听到了声音。

「静子殿、少しお時間を頂戴できませぬか?」

「静子殿,可以稍微等一下吗?」

「やあ静子、少し話をしたいのだが、構わぬか?」

「嘿,静子,我有些事想说,不会介意吧?」

静子から見て右手側からは光秀が、左手側からは秀吉が話しかけてきた。互いに相手の存在に気が付いたようで、静子を挟んで視線をぶつけ合う。

静子的右边是光秀,左边是秀吉,两人都发现了对方的存在,相互对视着隔着静子。

「「実は、折り入って頼みが……」」

「「实际上,有事想请你帮忙......」」

これは面倒な事になったなと静子が思っていると、秀吉と光秀の声が綺麗に重なった。タイミングも内容も一言一句まで一致した事に、お互いが驚いた表情となった。

静子想这会变得麻烦,就在此时,秀吉和光秀的声音完美地重合了。两个人都惊讶地看着对方,因为他们的时间和内容都完全一致。

しかし、すぐに我に返ると、互いに不快げな表情を浮かべ、相手を牽制し始めた。

但是,两人马上反应过来,开始用不悦的表情互相对峙。

「これ以上、順番で揉めるのは御免です。ここは一つ、運を天に委ねましょう。賽の目が偶数を示せば明智様が、奇数を示せば羽柴様が先として話を伺います」

「我们不希望再为争夺机会而麻烦了。我们把运气交给命运吧。如果点数是偶数,那么请听听明智的意见,如果是奇数,那么请先听听羽柴的意见。」

そう言うと静子は懐から出した正六面体のサイコロを投げた。板の間を何度か転がり、襖に当たってその動きを停めた。

说完后,静子从怀里拿出了一个正六面体的骰子并将其投掷。它在榻榻米上滚动几次,碰到了纸门后停了下来。

秀吉も光秀も固唾を飲んで賽の目を窺う。果たして出た目は『四』であった。自分が先だと理解すると光秀は得意満面となり、逆に秀吉は肩を落として消沈した。

秀吉和光秀都屏息凝视着骰子,最终掷出的结果是“四”。光秀理解自己赢了,得意洋洋,而秀吉则失落沮丧。

「では、明智様からお話を伺います。後程、羽柴様の許へと伺います」

“现在请听明智大人讲话,接下来我们会前往羽柴大人的处所。”

「先触れは要らぬぞ、そちらの用事が済み次第、いつ来て貰っても構わぬ」

“不需要先行通知,等您用事办完后,随时都可以来。”

天の決定に異を唱えるのは印象が悪いと考えたのか、秀吉は意外にもあっさりと引き下がった。光秀は扇子で口元を隠してはいたが、おそらく笑みを深くしていたのだろう。

秀吉认为反对上天的决定会给人留下不好的印象,出人意料地轻易地放弃了。光秀用扇子遮住了嘴,但他很可能在微笑。

「立ち話という訳には参りませぬ。部屋を用意しておりますゆえ、そちらにご足労願えますか?」

“请进屋子坐吧,不用站着说话。”

光秀自身が案内された一室は、華美にならない絶妙な調度を設(しつら)えられた、光秀らしい小洒落た部屋であった。

光秀带领静子进入了一个别致精致的房间,家具并不华美,恰到好处。

しかし、洗練された場の雰囲気にそぐわない人物が数人、離れた下座に控えていることに、静子は気が付いた。

但是静子注意到,几个与该地方的氛围不搭的人坐在远处的下座。

僅かに警戒しつつも静子は上座へと案内され、その背後に才蔵が立ち、いつの間にか駆けつけていた慶次が才蔵の隣に腰を下ろす。

虽然稍微有点警觉,静子还是被带到了上座,才藏站在她身后,而惠的身边没人坐,只有景次坐在他的右边。

「少々込み入った話になります。予(あらかじ)め、ご承知おき下され」

“话题有点复杂,请事先了解一下。”

「承知しました」

“好的,我知道了。”

「まずは後ろの者を紹介いたします。こちらは長宗我部殿の水軍を任されておられる、池(いけ)殿です」

“首先向您介绍后面的人。这位是被委任为长宗我部水军的池先生。”

光秀に紹介された人物、池が僅かに進み出て静子に向かって深々と頭を下げた。

光秀介绍池时,他微微上前,向静子深深地鞠了一躬。

「お初にお目に掛かります。拙者、長宗我部(ちょうそかべ)が臣、池四郎左衛門(しろうざえもん)と申します」

“初次见面,我是长宗我部的臣子,名叫池四郎左卫门。”

「あ、これは御丁寧に。私は静子と申します」

“哦,你很客气。我叫静子。”

予期しない人物の登場に、静子は時代にそぐわない返答を返してしまう。

看到出乎意料的人物,静子回答了不符合时代的话。

池四郎左衛門頼和(よりかず)。池は元々土佐の国人であり、当初は長宗我部国親(くにちか)と争っていた。

池四郎左卫门依赖和。池原为土佐国人,最初与长宗我部国亲争斗。

しかし、彼の娘を娶ってからは従属し、長宗我部水軍の主力を担うようになっていた。

但是自从他娶了长宗我部水军的主力之一的女儿后,就变得从属于长宗我部,并担任了其水军的主力。

堺との交易を活発に行い、長宗我部の財政を支えた人物でもある。

他积极开展与堺的贸易活动,也是支撑长宗我部财政的人物。

史実では後に妻と不和になり、謀反の疑いをかけられ、その当時の主君である長宗我部元親(もとちか)の命により自刃させられている。

根据史实,后来他与妻子发生不和,被怀疑企图叛乱,根据当时的主君长宗我部元国的命令,自杀身亡。

「我が主君の為に、長らくご助力を頂戴しておきながら、ご挨拶が遅れた事をお詫び申し上げます。主君は織田様、静子様のご尽力に大変感謝しておりまする」

“由于长时间得到您的帮助,却迟迟未能拜访,向我的主人表示歉意。主人非常感谢织田殿、静子殿的帮助。”

「それは何よりです(実験場にしたって言ったら、怒られるかな?)」

“太棒了(说成实验场会不会被骂呢?)”

池が感謝の言葉を告げる。対する静子は表面をにこやかに繕いつつも、内心では頬が引きつる思いであった。

池表达了感激之情。相对的,静子虽然表面笑脸相迎,但内心却十分不安。

史実では土佐統治に10年を費やし、四国統一に更に10年を要した長宗我部が、12年もの時を早めて四国統一に王手を掛けられたのか。

根据史实,花了10年时间治理土佐地区,又花了10年时间统一四国的长宗我部,在12年的时间里,就被提前放倒了四国统一的钱。

そこには幾つもの偶然と、長宗我部にとって神懸かり的な幸運が働いたためであった。

这是由于许多偶然和对长宗我部非常幸运的神秘影响造成的。

信長が上洛した際、長宗我部元親は未だ土佐統一を果たせずにいた。その後、1年ほど信長の動向を見守っていたが、突如として元親は決断した。

当信长去上洛时,长宗我部元国仍未统一土佐地区。此后,他们观察了信长的行动约一年,然后元国突然做出了决定。

自主独立を捨てでも、信長と同盟を結ぶ。最悪従属することになっても構わないと元親が言い出した。当然家臣達からは反対の声が上がったが、その悉(ことごと)くを彼は黙らせた。

必须要放弃自主独立,与信长结盟。元国说,即使最终必须从属于别人也没关系。当然,他的家臣们都反对,但他把所有的反对声都压制了。

しかし、信長からすれば、土佐一国すら統一出来ない元親と同盟を結んだところで、一切の利益がない。

但是,对于信长来说,即使与无法统一土佐地区的元国结成联盟,也没有任何利益可言。

一度目は目通りすら叶わず、光秀に仲介を頼んでの二度目すらも、けんもほろろに追い払われた。

第一次甚至无法见面,第二次向光秀寻求调和也被轻松拒绝了。

これが最後と腹を括った元親は、三度目の正直と言わんばかりに、国を投げ売るが如き条件で従属を願い出た。それでも、信長から色よい返事は貰えなかった。

下定决心说这是最后一次的元亲提出了条件以归顺为代价,像出卖国家一样,但信长仍未给予满意的回应。

しかし、信長は思うところがあったのか、静子を引き合いに出し、元親に彼女との同盟を結ぶよう持ちかけた。

但信长似乎有所顾虑,提出结盟静子为例,向元亲提议与她结盟。

静子からすれば、元親が信長に同盟を申し出るなどという事は、青天の霹靂であった。

对静子来说,元亲向信长提议结盟的事情犹如晴天霹雳。

しかし、長宗我部の扱いを巡って信長と光秀が反目し、本能寺の変が起きたとされる説を知っている身としては、到底これを見逃すことはできなかった。

但作为了解信长和光秀因长宗我部的待遇而发生分歧,引发本能寺事件的可能性的人,她无论如何不能放过此机会。

長宗我部が早い段階で四国を統一することが、最終的に織田家にとって利益となると判断した静子は、信長に同盟の承諾を伝えた。

静子判断,长宗我部早期统一四国,最终对织田家利益有益。于是向信长传达了结盟的同意。

「何を以て、利とする?」

"以什么为利益?"

「長宗我部殿の拠点たる土佐は、四国の下部にあたります。九州遠征を見込んだ場合、海路上の補給地点としては非常に好立地となります。また、彼が早期に四国を纏め上げれば、中国地方の毛利などに圧力を掛けることが出来ます。ここでしっかりと主従関係を確立し、四国に橋頭保を築ければ、日ノ本統一に向けて躍進するための布石となりましょう」

"土佐作为长宗我部的据点,处于四国下部。如果预计对九州进行远征,在海上补给点上具有非常良好的地理位置。此外,如果他早期统一四国,可以向中国地方的毛利等施加压力。在此建立牢固的主从关系,并为四国建立桥头堡,将成为迈向统一日本的策略布局。"

「ほう、中々に先を見ておるな。面白い、差配は貴様に一任する」

"哦?很有远见啊。有趣。您来负责部署。"

静子は現代より持ち込んだ地図を信長に見せつつ、展望を話し合った。正確無比な地形図が描かれる地図のお陰もあり、信長にも静子が唱える利点を視覚的に理解出来た。

静子拿出了现代带来的地图,向信长展现展望。由于精确无比的地形图的加持,信长也能够直观地理解静子所提出的利点。

三度目にして長宗我部は、信長に臣従することとなった。国力的に織田家との同盟は叶わなかったが、それでも織田家秘蔵の静子との同盟は、後に出色の成果となった。

长宗我部最终在第三次尝试中臣服于信长。国力上没有达成与织田家的同盟,但与织田家珍视的静子的同盟,最终成为了出色的成果。

ただし、この時点では長宗我部の立場に変化はない。その後、静子の働きかけにより前久が動き、朝廷から四国統一の綸旨が出される。

但是,此时长宗我部的地位没有变化。之后,前久受到静子的影响,从朝廷颁发了统一四国的勒旨。

しかし、朝廷が認めたと言っても遠く離れた四国の地では、実効力など無いに等しい。

然而,即使朝廷承认了,在遥远的四国地区,实际效力几乎没有。

あくまでも『朝廷としては長宗我部を四国の代表として認めます』という程度にしか受け止められていなかった。

它只被理解为“我们以朝廷的身份承认长宗我部是四国的代表”。

当初、信長は長宗我部への軍事的な支援に消極的な姿勢を示していた。織田包囲網により余裕がなかったという理由もあるが、そこまでする義理も無いと考えていたからだ。

起初,信长对向长宗我部提供军事支援的态度持消极态度。这也有織田围困网的原因,但他认为没必要这样做。

しかし、この信長の姿勢を正反対に変えてしまう事件が起こった。四国で長宗我部と覇を争う三好の軍が、信長が南蛮から手配した荷物を載せた船を沈めてしまったのだ。

然而,发生了一件事件,使信长的态度彻底转变。在与长宗我部争夺霸权的三好军队击沉了信长从南蛮带回来的货船。

積荷には信長が苦心の末に南蛮より買い付けた、各種の鉱石が満載されていた。当初、三好軍は長宗我部が堺との交易に使用している船と考えていた。

船上载有信长经过艰辛谋划从南蛮购买的各种矿石。最初,三好军认为这是长宗我部用于与堺市进行贸易的船。

三好は信長の逆鱗に触れた。信長が次なる飛躍を期して、莫大な費用と多くの時を費やした成果を、海の藻屑としてしまった。

三好惹恼了信长。信长为了下一步的飞跃耗费了巨大的费用和时间,结果成了海的碎片。

船を沈められたと知った信長の怒りは凄まじかった。

得知他们沉没了船后,信长非常生气。

戦国時代に荷物の保障などあるはずもなく、それよりも膨大な時間を掛けた仕込みが水泡に帰し、次なる一手を打つための機会を逸したことに激怒した。

戰國时代没有保障货物的规定,而是把大量时间分配给了筹备,这使得下一步的机会流失了,让信长非常愤怒。

信長は直ちに三好を滅ぼさんと、四国に乗り込もうとしたため、彼を引き留めるため多くの家臣が少なくない傷を負った。

信长立即打算征服四国并消灭三好,因此为了留住他,许多家臣受了不少伤。

損壊した器物も多く、襖などは無事だった物の方が少ない有様であった。

受损的物品也很多,墙壁等物品很少完好无损。

連日怒りをまき散らしたが、一転して冷静になると信長は長宗我部を使って三好を滅ぼすことに決めた。

在天天发泄怒气后,信长反而变得冷静,决定利用长宗我部来灭掉三好。

しかし、未だに土佐統一にすら手を拱(こまね)いている長宗我部ゆえ、起爆剤が必要だと彼は考えた。

但是,由于长宗我部尚未统一土佐,这就需要起爆剂,信长想到了織田家拥有的九鬼水军。

そこで白羽の矢が立ったのが、織田家の擁する九鬼水軍だった。

因此,九鬼水军成为了他们的首选。

スクリュー船を始め、静子から様々な技術供与の果てに近代化を成し遂げた九鬼水軍だが、海戦自体が無かったため、実戦経験に乏しかった。

九鬼水军通过从静子等人那里获得各种技术援助实现了现代化,包括螺旋桨船,但由于没有海战经验,因此在实战方面缺乏经验。

信長は九鬼水軍の実力がどれほどのものかを把握するため、三好を相手に試し斬りを行うつもりであった。

信长想要进行试斩以了解九鬼水军实力如何,他的对手是三好。

こうして長宗我部に九鬼水軍が派遣され、土佐統一を為さずして三好とも戦端を開くという無理難題が長宗我部に降りかかった。

长宗我部面临着无法实现土佐统一的无理要求,即与三好开战,于是派遣了九鬼水军。

家臣達は降って湧いた災難に悲嘆したが、元親は「この程度の無理を通せずして、四国統一は不可能」と開き直り、家臣達を説得した上で、三好にいくさを仕掛けた。

家臣们为突如其来的灾难感到悲痛,但元亲很快意识到四国统一需要克服这种困境,说服了家臣们,并向三好发起了攻势。

急造の連合軍であるため、最初は押され気味であった長宗我部軍だが、途中から状況が好転する。

长宗我部军是一支紧急联合军,因此一开始处于劣势,但情况在中途开始好转。

三好軍の有能な武将が『都合良く』病死し、三好軍の主力であった淡路水軍が九鬼水軍の圧倒的火力の前に、全滅寸前という大敗を喫した。

三好军的优秀将领“恰巧”病死,作为三好军主力的淡路水军在九鬼水军压倒性的火力下,面临全军覆灭的大败。

更に三好軍の補給路を断つため、長射程を生かした対地砲撃を繰り返し、彼らの使う港を一つ残らず破壊した。

又通过多次利用远程射程进行对地炮击来切断三好军的补给线,摧毁了他们所使用的所有港口。

これにより海からの支援を受けられなくなった三好軍だが、港を破壊したという事は長宗我部軍も海上から陸へと攻め込めないと考えた。

这样一来,三好军无法得到来自海上的支援,但摧毁了港口,长宗我部军亦认为无法从海上攻入陆地。

しかし、現代の揚陸艦に近い輸送船を開発していた九鬼水軍は、港が無くとも人員や物資を運び込み、長宗我部軍を支援した。

然而,九鬼水军正在开发类似现代登陆舰的运输船,即使没有港口,他们也能够运送人员和物资来支援长宗我部军。

その間に、第二次織田包囲網が始まり、織田家の状況は苦しくなった。しかし、大方の予想を裏切り、三方ヶ原の戦いでは信玄を打ち破り、僅か数日で長島一向宗をも蹴散らした。

在此期间,第二次织田包围网开始,织田家的情况变得困难。然而,出乎大多数人的意料,长冈原之战中打败了信玄,数天内也击败了长岛一向宗。

この急展開に長宗我部以外の四国の国人たちは心底怯えた。

这种进展使除长宗我部外的四国国人感到恐惧。

特に三好に与する勢力の動揺は顕著だった。対する長宗我部はこの機を逃さず、調略と武力とを交互に織り交ぜて勢力を伸ばした。

特别是与三好有关的势力的动荡非常明显。相比之下,长宗我部则趁机使用策略和武力相结合,扩大了势力。

今や四国で長宗我部に従わないのは、三好の勢力のみとなっており、他の国人は全て長宗我部元親に屈していた。

目前,四国不效忠于长宗我部的只有三好的势力,其他国人全都屈服于长宗我部元親。

「(破竹の勢いってこういう事を言うのだろうね)さて、単に挨拶をするためだけにお越しになると思えません。私に何の御用でしょうか?」

「(这就是所谓的破竹之势吗?)嗯,您怎么不是为了问事情才来的呢?」

過去を振り返りつつ、静子は池に次の言葉を促した。単純に面会するだけなら、今までにも機会はあった。

当静子回顾过去时,她促请池说话。如果只是为了见面,过去也有机会。

それをせずに、今この場で光秀が場を整えると言う事は、何か重大な話があると静子は推察した。

然而此时光秀在场,静子推测他此来必有要事。

「ははっ。ご慧眼、恐れ入りましてございます。実は大変に厚かましい事を申しますが、静子様に折り入ってお願いがございます」

「哈哈,您真是聪明绝顶。有件非常大胆的事想请静子小姐帮个忙。」

「お願い?」

「请客气。」

静子の問いに池は一つ頷くと、彼は意外な願い事を申し出た。

静子问话后,池点头表示,然后提出了一个出乎意料的请求。

「実は……これ以上のご支援を遠慮したく、この場を設けて頂きました次第」

「实际上……我们想要避免再接受更多支援,因此特别在这里向静子请教。」

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